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PS4『ゴッド・オブ・ウォー』雑感

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2018年4月20日にリリースされたプレイステーション4専用タイトル『ゴッド・オブ・ウォー』の雑感です。

 

ゲーム全体について

・同シリーズを遊ぶのは1作目以来(2作目以降のストーリーはなんとなく知ってる)

・『バイオハザード4』や『ギアーズオブウォー』に代表される肩越し視点(ビハインドカメラ)を用いた近接戦闘主体のアクションゲームはあまりないため(近いのは『ゴッドハンド』あたりか)楽しみにしていたタイトルだったが、この点は存分に期待に応えてくれた。

・戦闘と、謎解きを伴う探索を繰り返し、その中で自然な流れでクレイトスとアトレウス(と中盤以降もうひとり)の会話が差し挟まれ、本作の売りであるシームレスに移行するカットシーンによってストーリーが進行していく。最初不仲だったふたりのキャラクターが絆を深めていくと言うと『The Last of Us』っぽいが、北欧の豊かな自然やクライム要素が多めなことなどから前半の雰囲気は『アンチャーテッド』のほうが近い。中盤以降は神話世界ならではの、絢爛豪華だったり、スケール感の狂ったようなロケーションが多くなり、現行機最高品質の映像で描かれるこれらの景色は本当に美しい。

・完全な一本道じゃなく開けたフィールドでの探索やサブクエストも豊富。このバランス感覚は今後のAAAタイトルに影響を与えそう。

ゲームデザインにオリジナリティを感じる要素はほとんどないが、素材の配分があまり見たことがないものになっており、すべてにおいて妥協のない仕上がりとなっていることと合わせ満足感は相当に高い。

・思えばPS2の初代『ゴッド・オブ・ウォー』も当時トレンドだった既存の素材を使って、類を見ない高品質に仕上げたことで名を馳せたゲームだった。本作も開発思想は初代と近いのかもしれない。

 

戦闘について

・斧を使って敵を「叩き切る」アクションの数々は手応え抜群。遠くの敵に斧を投げる ⇒ 任意のタイミングで手元に引き戻す(戻ってくるときも攻撃判定がある)操作感はあまり体験したことがないもので、プレイするまで何故これがレビューで絶賛されているのか分からなかったがなるほど純粋に気持ちがいい。斧がクレイトスの右手に戻ってきたとき、コントローラの振動でプレイヤーの右手にもずっしりした感触(の錯覚)が感じられるのもよい。各種SEも素晴らしい仕事をしている。

・斧投げは初期設定では近くの敵を自動的に狙うようになっていたが、これが大変煩わしく途中から自動照準を切ったら快適になった(自動照準でもいいけどナイトメアがいるときはまずナイトメアを狙ってくれ)

・エイミングが必要なシューター要素を含んだスラッシュアクションはいくつかプレイしてきたけれど、出の早い近接攻撃と、狙い撃つ遠距離攻撃では戦闘のテンポが乖離している印象を受けることが多かった(酷いものだと敵が遠くにいても狙い撃つより近づいて切り刻んだほうが早いよ!となる)。本作は近接攻撃は比較的重量感があり、遠距離攻撃は回転しながら飛んでいく斧ということで当たり判定が大きく、精密な狙いは必要ない。それぞれのテンポがかなり近いものになっていて、あまり切り替えを意識せずそれぞれの攻撃手段を絡めた立ち回りが楽しめたように思う。

・ガードとエイムのボタン配置が近く、それぞれが使う局面の異なるアクションに派生するボタンをも担っているため、この辺りの操作感はかなり煩雑と言わざるを得ない。ただ豊富な選択肢を持つ豊かなアクションとのトレードオフなので、よりよい案も特に思いつかない。

・敵の攻撃はなかなか激しく、盾によるガード/パリィや回避を駆使して立ち回っていくことになる。コンボは中断されがち。ダッヂオフセットほしい(別に不満点ではない)

・成長要素によってクレイトスのアクションはどんどん豊富になっていくが、便利なものもそれなりにあるものの、意識しないとなかなか使わないものも多い。このへんはゲームプレイに変化を与えプレイヤーを飽きさせないための要素であり、駆け引きをより奥深くするものではなかった気がする(基本的な駆け引きは序盤で既に完成されている)

・成長要素はアトレウスにもあって、中盤以降は敵をスタンさせたり、弱体化させてくれたりと極めて優秀なサポートを行ってくれる。次第にクレイトスとのチームプレイが上手くなっていくように感じられ、親子の絆が徐々に深まっていくストーリーとも呼応し合うものになっており、こちらは比較的好印象。

・これは少数意見だと思うけど、画面外から攻撃されそうなとき攻撃が来る方を向いた矢印が表示されるのはあんまりスマートじゃないと思った。アトレウスからの注意喚起に絞っても良かったのでは?

・気になる点もあったけれど、すべてにおいて手触りの気持ちよさが抜群なので満足感はとても高かったってことは最後に改めて書いておく。

 

探索について

・サブクエストにはそれぞれ依頼人となるサブキャラクターにまつわるストーリーもしっかり用意されていて、単なる素材集めになっていないのはよい。

・メインストーリーでは行く必要のない場所がいくつも用意されているのは贅沢だし探索自体は楽しいのだが、ミズガルドは移動の多くがボートだし、ムスペルへイム、ニブルヘイムといったチャレンジ用のワールドに行くには毎回あの部屋に行ってアレをしないといけなかったりと移動に関して煩わしさが多いのは残念(何か見落としてたらごめん)

・加えて、湖の水位が下がって探索範囲が広がる ⇒ アトレウスの弓がパワーアップして探索範囲が広がる ⇒ クレイトスが新たな武器を……といった感じに、現状手に入るアイテムを都度入手し尽そうとすると同じ場所に何度も行く必要が出てきてしまう。メトロイドヴァニアならさほどの煩わしさはないが、本作では中盤以降ややストレス。終盤までファストトラベルが不便だから尚更。

・3つのオブジェに攻撃を加えることで開く宝箱が各地に点在しているが、操作精度とスピードが求められるパターンや、斧が戻ってくるときの軌道を考慮しないと破壊できないパターンが時々存在していて、これに挑戦するのは楽しかった。収集要素にプレイヤースキルを試すちょっとしたチャレンジが付与されている感じは『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』のコログの実収集に近いものがあり、参考にした可能性はありそう。


クレイトスとアトレウスについて

・ストーリーの細部や北欧の神々の関係性についてはあんまり覚えていないのでふたりの描写に焦点を絞って書く

・これまですべてを暴力で解決してきた戦神クレイトスだが、本作では息子であるアトレウスにどう接すればよいか分からない、不器用な父親として描かれている。アトレウスに狩りのやり方を教える際は、息子の肩に手を置き、矢を射るタイミングを的確に伝えるクレイトス。しかし息子が落ち込んでいるとき、慰めるために肩を抱くことは躊躇ってしまう。戦いの達人、けれど人の親としてはダメダメ。こういった対比が実に見事で、戦うことしか知らない男の背中には哀愁が漂う。プレイヤーの暴力衝動の請負人でしかなかったこれまでのシリーズよりも親近感を持てるキャラクターになっている。本作がプレイヤーとプレイアブルキャラクターの目線が近い、肩越し視点である意義はこの点においても大きい。

・「それはやめろ」「時間の無駄だ」などとアトレウスを縛るような言葉ばかりを口にし、その理由はほとんど口にしないクレイトス。序盤はそんなクレイトスの不器用さにやきもきさせられる。しかし彼の息子に対する助言の数々は、危険に満ちた世界で正しく生きるために必要なことであり、息子を大切に思っているからこその言葉ばかりであることが徐々に明らかになる。

・一方のアトレウスは、最初のうちは渋々ながら父親の言うことを聞いていたものの、ある出来事を境に反抗期に入ってしまったりする。ふたりに起きる緩やかな変化、その描き方のバランスがとても好ましいと思った。どちらか一方が決定的に未熟で、相手を通して一方的に成長するのではなく、それぞれの足りていないところをお互いが補い合うことで新たな関係性を築いていく、似た者親子の成長譚。ゲームデザインと一致したよいストーリーテリングだ。

・父親に思うところはありながら、その強さに憧れも抱くアトレウスは、時折暴力を行使する快楽に酔ってしまう。怒りに任せて殺戮の限りを尽くした忌まわしい過去を持つクレイトスは、それが決してやってはいけない行為であることを伝えようとする。暴力を振るうには振るうなりの矜持があるべきなのだと。息子に自分と同じ過ちは繰り返してほしくないのだと。本作は敵を叩き切り、引き裂き、絶命させることが実に爽快なアクションゲームだ。上手くまとまっていないけれど、「楽しい暴力」をプレイヤーに与えることを前提として親子の関係性を描こうとしたとき、「戦わなければならないときはある。しかしその行為に飲まれてはならない」という落としどころはとても誠実なんじゃないかと思った。(「戦いは何も生まない!」とか言い出したり「お前は殺戮を楽しんでいる狂人だ!」とかやるような楽しい暴力を自ら与えておいてそれを享受したプレイヤーを糾弾するようなやり口ではなく、そこに魅力を感じること、それを楽しもうとする行為そのものは否定していない、みたいな意味)(やっぱり上手くまとまらない)

 

演出について

・全編ワンカットは確かに凄かったが、それに伴って行うべき工夫が徹底されていなかった印象もある。やっぱりメニューを開くたび別画面になってしまうのが一番勿体ないと思う。通常画面が表示されたまま、左右に展開されるような簡素なUIでカスタマイズなど行えれば良かったんじゃないだろうか。

・死ぬたび途中からやり直しになるからノーカットが無意味になるって件はまあ自分が死んでしまうのが悪いしな……と半ば納得している。

・ある武器を手に入れるシーンの演出は個人的に本作のカットシーンにおけるハイライト。動的なシーンの荒々しくダイナミックな映像に目が行きがちな本作だが、静的なシーンも負けず劣らず素晴らしい。

・エンディングもよかったです。

 

その他

・ブレイクスルーを起こすには至っておらず満点評価には少々疑問もあるけれど、今年のGOTYではRDR2と(あとはモンハンワールドとスパイダーマンと)大いにぶつかり合ってほしい(ただRDR2には「本作並み」よりずっと上を期待している)

・次回作には+αの変化、具体的には局所的な開けたフィールドのより本格的なオープンワールド化や、戦闘システムのさらなる洗練などを期待したい。

 

おわり