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『アイカツフレンズ!』第3話「ビビっとインスピレーション」感想

長らくゲームブログとしてのんびりとやってきましたが、自分で書く内容に制限をかける必要ないなって思ったのと、『アイカツフレンズ!』第3話「ビビっとインスピレーション」が最高だったので、このエピソードの感想文を書きました。

 

これまでのあらすじ

友希あいねはスターハーモニー学園の普通科に通う中学2年生。彼女はある日、実家が経営しているカフェのおつかいで、同じ学園のアイドル科に通うトップアイドル、湊みおのもとにサンドイッチを届けに行く。

このときみおは、ふたりユニットでの参加が条件となっているステージ*1に、一緒に出演してくれるアイドルを探していた。

あいねとのフィーリングの良さに「ビビッ!」っときたみおは、アイドル未経験の彼女に、一緒にステージに出てくれるよう頼むのだった。

みおとのレッスンを通してアイドル活動、略して「アイカツ」が想像以上にハードであることを知るあいね。しかしみおと一緒に過酷な日々を乗り越え、見事ふたりはステージを成功させる。

アイドルとしてステージに立ち、みんなを笑顔にすることができる喜びを知ったあいねは、改めてみおに誘われ、スターハーモニー学園の普通科からアイドル科に転入することを決意。彼女たちの熱いアイドル活動、「アイカツ」は幕を開けたのであった! というのが『アイカツフレンズ!』の導入部である第1話『ハローフレンズ!』のストーリーだ。

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左のピンクが作品の主人公「友希あいね」、右の青が第3話の主役となる「湊みお」だ


つづく第2話『無敵のラブミーティア』では、みおが目標とするダイヤモンドフレンズ*2、「ラブミーティア」との邂逅が描かれた。

 

第3話のサブタイトルは『ビビっとインスピレーション』。忙しくアイドル活動をする傍ら自らがステージで纏うドレスのデザインに悩むみおと、彼女の「1日付き人」をすることになったあいねとの交流を通したストーリーとなっていた。

今回、特に鮮烈に描かれたのは、湊みおのあらゆる経験やインスピレーションを全て糧としてアイドルの頂点を目指そうとする強い信念。そしてみおの秘めた魅力を引き出し、強張った心を解きほぐす、友希あいねが持つ運命的な相性の良さだ。

 

「湊 みお」がすごい!

おはスターハーモニー学園のトップアイドルだが、それは学園内アイドルにおけるトップということ。世界的なアイドルであるラブミーティアのふたりがいる高みには遠く及ばず、本人も現状にはまだまだ満足していない。

そして彼女が理想に近づくため日々自分を磨き続ける行動力を持った人物であることが第3話では一貫して描かれている。

 

彼女は日々の生活の中で目に付き、心惹かれたものを写真に収める。朝露に濡れる花壇の花、太陽の光を反射して煌めく水面、芝生の上で眠る猫……これまでに撮った写真を収めたアルバムは数十冊に及ぶようだ。みお自身がデザイナー兼ミューズを務めるファッションブランド「マテリアルカラー」の服飾デザインには、彼女がこれらの写真から得たインスピレーションが活かされている。

印象的だったのはコガネムシがみおの傍を飛んで行き、近くの葉っぱに留まったときのあいねとのやりとり。

みお 「ムシ……?」
あいね「かわいい!」
みお 「な、なんで平気なの?」
あいね「弟がよく虫取ってくるし、家庭菜園やってるから慣れてるんだ。……苦手?」
みお 「苦手じゃないわ、慣れてないだけ」

みお 「う~、あのグラデーション……光沢感……気になる」

みおはコガネムシスマホで連写しはじめる。

 

彼女は自分の傍をコガネムシが通過したとき反射的に飛び退いており、実際のところ現状は虫が苦手なのだろう。しかしそのまま遠ざけようとするのではなく、これまで間近で見たことのなかった生き物の姿かたちに対する興味のほうが勝った。

このやりとりからは自分にとって心地よいものだけを「仕分け」するのではなく、免疫のないものも含め、あらゆる対象に興味を持ち、受け入れ、インスピレーションを得ようとする、みおの心が広いとも節操がないとも取れる貪欲さが伺える。

きっとアイドルとしての目標を定め、身に纏うドレスも自分でデザインすることが決まったときに、彼女の行動原理も決まったのだろう。継続はちから。この姿勢を貫き続けた日々こそが、彼女をスターハーモニー学園のトップアイドルへと導いた。


みおがデザインしたマテリアルカラーの衣服は、彼女のイメージカラーである青を基調としたものが多い。しかし、ところどころカラフルだったり、変わった素材がアクセントとしてあしらわれていて、それはまさに彼女が日々の中で触れてきた、この世界に存在するあらゆる『彩り』を散りばめているかのようにも見える。

自分が見て、触って、感じた全ての事象を糧として高みを目指すアイカツこそが湊みおのアイカツなのだ。


これは当エピソード後半部分で描かれるみおの心象風景を描いたシーンからも読み取れる。

満点の星空に浮かぶ、彼女がこれまでのアイカツを通して「生み出してきたもの」たち。その中にはみおが表紙を飾ったファッション誌などの世に出たものもあれば、スケッチブックやメモ帳、写真を収めたアルバムといった、彼女だけが知っている努力の証もある。これらから放たれた光が天高くへと駆け上がるための階段となり、その頂点にはラブミーティアのふたりが待っている……

これまでに選び取ったもの、つくったもの、全てが高みを目指す糧になる。だから彼女は空き時間もインスピレーションを得るための大事な時間と考えているし、苦手なものからも積極的に何かを得ようとする。勉強も怠けない。


「ドレスは私から生まれる。だから手は抜けません」

本編中のみおの言葉だが、彼女の生き様そのものを表した言葉でもあるのだろう。


第3話でみおが新作ドレスを身に纏ってステージで披露した曲は「6cm上の景色」。ヒールを履いておしゃれして、理想の自分にちょっぴり近づく胸のときめきを歌った楽曲だが、これらのエピソードを踏まえると、常に現状より高い場所から見る景色を渇望し続ける、彼女のアイドルとしての在り方を表現しているようにも聞こえてくるはずだ。*3


アイカツフレンズ!ミュージックビデオ『6㎝上の景色』をお届け♪

この動画はデータカードダスアイカツフレンズ!のミュージックビデオ。テレビアニメ版では美麗なCGで描かれたさらにキュートなみおちゃんのステージを観ることができるぞ!

 

「友希 あいね」がすごい!

みおが目指すダイヤモンドフレンズへの道のりは長く険しく、彼女自身、自分にはまだまだ足りないものがあることを自覚している。彼女の撮る写真が時折大きくピントを外してしまうのも、彼女がまだ物事の本質を捉え切れていない、ということを象徴しているかのように思える。

しかしそんなみおが背負い込んでいる重荷を、あいねはそっと降ろしてあげることができる。あいねにはみおのような具体的な目標はない。「友達を100万人つくりたい!」とは言っているが、アイドルになるまでは実現性のない妄言だったはずだ。みおが秘めた強い想いはあいねには理解できない。だからみおが気落ちしているときも安易な共感などしないし、無責任な応援もしない。代わりにみおが好きな「トマトバジルチーズのスペシャルサンドイッチ(あいねVer.)」を振る舞う。他者との適切な距離感を見極め、相手が求めていることを見抜く才能があいねにはあるようだ。

 

そしてあいねは、みおの魅力を引き出す力も持っている。トークショーのアシスタントをすれば台本にない質問をしてみおを慌てさせ(図らずもこのときの質問は、観客の疑問を代弁することにもなっていた)、ファッション誌の撮影ではペンギンを見て頬を緩めるみおの決定的瞬間を収めるようカメラマンに促す。

これまでみおが纏い続けていた「オトナでクールな女の子」という仮面は剥がれてしまうが、今までにない彼女の一面はファンにも、業界関係者にもとても好意的に受け入れられた。

 

今回のおはなしのテーマのひとつに『差し色』があった。
コーディネートにおいて主役となる色を決めたら、それとは全く異なる色も取り入れることで、全体の印象が華やかになり、主役の色も一層引き立つことがある。

みおは新作ドレスのデザインをしながら「何かが足りない」と悩んでいた。足りないのはまさに差し色だったのだ。完成した「ネオコンビネーションコーデ」は青を基調としながらキラキラのラメを散りばめた未来的でクールなドレスだが、キュートなピンクを差し色に加えることでより魅力的なものに仕上がった。ちょうどあいねと一緒にいるときのみおのように。

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みおとあいねがすごい!

みおとあいねは異なる個性を持った女の子だ。みおは目指すべき夢を見定めている女の子で、あいねは具体性のある夢はまだ持っていないが、誰かの元気や笑顔のために一生懸命になれる女の子。どんな未来を目指すこともできる、可能性に満ちた女の子でもある。

番組が始まるときのタイトルコールでは、最後の決めポーズの際、みおの左手は一点を指し示し、あいねは開いた右手を前の方へと差し伸べていることを思い出してほしい。

それは目指すべき場所が定まっている、目的地へと突き進む意志を持った者の左手と、誰も拒むことなく受け入れることができる者、あらゆる可能性を掴み取ることができる者の右手だ。そして彼女達はもう片方の手を結び合っている。

異なる個性を持つふたりが手を取り合ったとき、そこには途方のないパワーが生まれる。これまでアイカツ!シリーズを追い続けてきた者ならば知っているだろう。

 

それはつまり「ふたりなら最強」ということだし、エントロピーなど凌駕するし、ハーフなまま2人で究極、2wayから繰り出すSkillだ。

しかし彼女たちは虹野ゆめでも桜庭ローラでもない。まどほむでもなければ翔太郎とフィリップでもない。

 

彼女たちがこれから絆を深め、お互いを真のパートナーと認め合うようになったとき、そこに生まれるパワーがどんな性質を帯び、どんな物語が紡がれるのかは誰にも分からない。

けれどあらゆる個性を肯定的に、ひとりひとりがかけがえのない存在であることを繰り返し描いてきたアイカツなのだから、きっとあいねとみおも誰にも似ていない、彼女たちだけの物語を紡ぐのだろう。

 

そしてあなたが彼女たちの物語と出会い、この出会いが、あなたが自分だけの物語を紡ぐための『差し色』になったとしたら、こんなに嬉しいことはない。

 

テレビアニメ『アイカツフレンズ』第1話~第4話はゴールデンウィーク期間中、公式サイトにて無料配信中。

www.aikatsu.net

*1:アイカツシリーズにおいては特に説明が無ければ歌とダンスを披露する場だ

*2:よくわからないが最強のふたり組みユニットということらしい

*3:みおがステージに立つときの前口上は「行こう、もうひとつ上のステージへ!」