サニーサイド四畳半

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『零〜濡鴉ノ巫女〜』があまり怖くない⑦つの理由

エンディングまで到達したので、WiiU用ソフト『零〜濡鴉ノ巫女〜』のレビューをします。クリア後の特典及び追加モードには手をつけていませんが、本作のプレイは一端ここで打ち止めにします。長かった…

 

過去の『零』シリーズのプレイ経験は『紅い蝶』のみ。ホラーゲームは思いきり怖い方が良い派なので、終始ビクビクしながらプレイできた『紅い蝶』は、切なくも美しい物語やゲームシステムも含め大変気に入っています。

しかし、『濡鴉ノ巫女』は比較的怖くなかったですね。直近で遊んだ『P.T.』なんかはめちゃくちゃ怖がれたので、僕自身のホラー耐性がそこまで上がった訳ではないはず。

そこで今回はタイトル通り、濡鴉ノ巫女』があまり怖くない理由をひとつづつ分析しながら、ゲーム全体のレビューを行いたいと思います。

酷評気味なので、読みたくない方は回れ右推奨です。

 

怖くない理由① WiiUゲームパッドの弊害

僕はWiiUゲームパッドを初めて見たとき、「あ、このコントローラで零やってみたい。これは写影機*1として使うべきコントローラだ。」と思った人間なので、本作の発表は待ちに待ったものでした。

しかしいざ発売が決まると、WiiUゲームパッドが零の「臨場感」と「没入感」を阻害する可能性を懸念するようになり、実際、それは現実となったのです。

これまでの零シリーズは写影機を構えることで三人称からファインダー越しに覗いた一人称の視点へと変わるため、怨霊を倒すためにはドアップで画面に表示された相手と対峙することになるという、ニクい恐怖演出がありました。

濡鴉ノ巫女ではこの一人称視点がゲームパッドの小さな画面に表示されます。これは本来のファインダー越しの視点とはかけ離れた、むしろ過去作よりも「臨場感」を削ぐ仕様と言わざるを得ません。

また、プレイヤーの視線もプレイ中テレビ画面とゲームパッドの画面を行ったり来たりすることになるため、作品世界への「没入感」も低下させていると感じました。

ゲームパッドは写影機「ごっこ」をするのには適したインターフェイスだったものの、ホラーゲームに大切な「臨場感」と「没入感」にとっては、むしろマイナスに働いてしまっているのです。(ゲームパッドの画面を利用しない、従来通りのシステムで遊ぶことも可能ではあるようです)

 

理由② クリアすぎる画質

本作は零シリーズ初のHD画質で、グラフィックだけでなく作品全体を包む「美しさ」も魅力であるシリーズだけに、映像面でも待望の作品でした。

ファミ通のインタビューで開発スタッフも言及していましたが、これまでの零シリーズはグラフィック処理の面であえてぼかしていた箇所も多かったところを、今回はシリーズ初のHD画質を生かすため、くっきり表示することにしたとのこと。

主人公たちの美人度がかなりアップしたのは喜ばしいのですが、敵キャラクターやオブジェクトの造形は、海外作品のクオリティに慣れてしまっている身としては、なんだか「作り物っぽさ」が強調されてしまったように感じます。

このあたりの評価は賛否あるでしょうが、 「怖さ」という点では「くっきり」した画像処理が裏目にでてしまったかな、と見ています。

 

理由③ 主人公がエロい

本作の主人公は「不来方 夕莉」、「雛咲 深羽」、「放生 蓮」の3人なのですが、女性陣2人が実にエロい。特に夕莉ちゃんはシリーズの主人公でも稀に見る巨乳で、歩くだけでぽよぽよと揺れるおっぱいを眺めていたらもう、健全な男子なら視界に幽霊や怪奇現象が入る余裕など無いわけですよ。深羽ちゃんは腋フェチ必見。

さらに本作では「濡れメーター」というシステムが存在し、雨を浴びる、池に入る、敵の攻撃を受けるなどの理由で上昇、様々な状態変化を起こすというものなのですが、メーターの値が高い状態だと上着が透け、体に張り付きボディラインが強調される等の視覚的な変化もあるため、健全な男子なら(以下略

フェティシズムもシリーズの魅力と言えますし、個人的にはゲームの評価を上方修正するに足る要素だと思えますが、間違いなく「怖さ」を打ち消す要因のひとつでもあると言えるでしょう。

 

理由④ 同じ場所を何度も往復するステージ構成

シリーズ1のボリュームをアピールしている本作ですが、実際エンディングまでの所要時間は過去最大となっています。しかし、時には別の主人公で、時には別の目的で、同じロケーションを何度も往復することとなり、水増し感もかなり強いです。

ステージが使い回しだと、敵の配置やイベントが変わったところで、未知のロケーション、扉の向こうに何が待っているのか分からない怖さはどんどん薄れていきます。

加えて、今回は比較的屋外のステージが多く、閉鎖的な屋内より精神的な圧迫感が少ない点も「怖さ」を削ぐ原因となっています。

 

理由⑤ 緊張感の無いストーリー

 本作は章仕立てとなっており、毎回誰かを助ける、目的地に向かうといった目標を達成するとその章は終了、主人公は無事家に帰ることとなります。主な舞台が「二度と生きて還れない山」なので、こう何度も生きて還れると、恐怖スポットの名折れというか、ちょっと説得力に欠けちゃいますよね。

中盤以降は主人公達の自宅にも山からついてきた怨霊が訪れるようになり、恐怖スポットの面目躍如といった所ですが、それにしたって、本編は全十四章。主人公たち、「二度と生きて還れない山」から行方不明者救出しすぎ、そして生還しすぎです。

 

理由⑥ 戦闘がダルい

過去シリーズの戦闘は、敵の怨霊に接近し、シャッターチャンスに撮影を行うことが基本でした。本作では加えて、より多くの被写体をカメラに収め撮影することも有効な攻撃となっており、戦略の幅が広がっています。

しかしその長所を覆い隠すほどの欠点が戦闘のダルさ。

前述した有効な攻撃を行えるタイミングはいずれも限られており、敵が主人公の周りをグルグル回るっている間など、「待ち」の時間がかなり長く感じました。

シャッターチャンスは敵が主人公を攻撃する直前であることが多いのですが、今回は瞬間移動→突進攻撃というパターンを使う敵が多く、これに対処できるかは運に寄る部分が少なくないです。そしてここで反撃に失敗するとまた長い「待ち時間」がある。

ただでさえイライラする戦闘が今回は頻度も多め、さらに作品全体のボリュームが大きいためここでも同タイプの怨霊の使い回しが目立つ。戦闘経験を積むことによるプレイヤーのスキルアップもあまり出来ない調整のせいで、上達する喜びも味わい辛い。

やがて怨霊たちの登場は、恐怖から「またかよ~」という苛立ちの感情ばかりを生み出すものとへと変わっていきました。

個人的に本作の評価を最も落としたのはこの戦闘バランスが原因でした。

 

理由⑦ 時代錯誤なデザインによる没入感の低下

濡鴉ノ巫女』にはゲームパッド以外にも、昨今のゲームとしては致命的な「没入感」の低下を引き起こす使用があります。

今、というか何年も前からですが、特に海外のアクション、アドベンチャーゲームでは、HUD*2を可能な限り撤廃するのが主流となっています。

HUDの存在はゲームとしてはあった方が便利でも、作品世界に没入するためには不純物でしかないのです。没入感を重視する作品ならば当然の流れだと言えるかもしれません。

代表的な例だと、『アンチャーテッド』シリーズは体力ゲージを廃止し、ダメージを受ければ受けるほどゲーム画面の色彩が失われていき、完全に白黒になってしまうと主人公が死亡、ゲームオーバーとなります。

ホラーアクションアドベンチャーならばやはり『Dead Space』です。Dead Space』では、体力ゲージと超能力ゲージを主人公の宇宙服デザインに落とし込み、HUDを作品世界の一部にしてしまうという方法を採用しています。

 こうした優れた前例があるにも関わらず、『濡鴉ノ巫女』のHUDは、PS2時代から時が止まったようなごちゃごちゃっぷりを見せています。テレビ画面も、ゲームパッドの画面も、ごちゃごちゃです。

ゲームデザインの根幹を成す部分なら譲れない場合もあるでしょうが、例えば「濡れメーター」などは間違いなく不要です。服の濡れ具合を段階的に表せるグラフィックを描けているのだから、わざわざメーターまで表示することは無いでしょう。

本作にはDead Space』のナビゲーションシステムを参考にしたであろう、進むべき道を教えてくれる「影見」というシステムがあり、進行方向を見失いやすい本作のフィールドと実に相性がいいのですが、他にも過去の優れたゲームから学ぶべき点は多々あったのではないか、と思わざるを得ません。

 

※全てが怖くない訳ではない

ここまで濡鴉ノ巫女』がいかに怖くないかを書いてきましたが、油断は禁物です。

本作には曰く付きのVHSや、監視カメラの映像、怨霊となった人々が犠牲となった瞬間を追体験出来る「看取り」など、あらゆる局面で、とても視認性の悪い映像を見ることとなります。

これらの映像は、一度普通に作成した映像を、VHSにダビング、そのフィルムをぐしゃぐしゃにして劣化させた映像を元にして、最初に作成した映像を加工するというこだわり抜いたものとのこと。このうちの数回は個人的にかなり怖かったです。

自分でプレイしていないタイトルを挙げるのは恐縮なんですが、『Outlast』なんかは解像度の低い暗視カメラ越しの視点で進む点も、怖さに繋がっているように思いましたし、一度全編「看取り映像」の画質で進める『零』とかやってみたいと思いました。

…ずっとHD画質の『零』を待ち望んでいたというのに身勝手な話ですが。

 

まとめ

以上のように本作はあまり怖くないのですが、各項目で書いた付随する不満点もかなり大きく、 「怖いのが苦手だけどホラーゲームに挑戦したい」人にも個人的にはおすすめし辛い作品となっています。

それでも「和風ホラー」の大作タイトルって今や本作くらいですし、西洋風の「血みどろびっくりホラー」に無い情緒や甘美で美しい雰囲気を味わいたい方なら楽しめるかもしれません。

今回も天野 月さんのタイアップ曲は、言うまでもなく絶品です。

あとポリゴン美女のクオリティはコンシューマタイトルとしては間違いなくトップクラスなので、余程直接的な描写を期待しなければその点は期待を裏切らないかと思いますね。

 

 

 

余談

本作はクリア後の特典として、フリフリのビキニや「うさ耳」といった、開発者と一部プレイヤーの欲望の具現化とも言えるコスチュームが手に入るわけですが、その前に主人公たちが山に分け入ってずぶ濡れになったりした私服でそのまま就寝するのを何とか出来なかったのでしょうか?

そのビキニの開発リソースで寝間着くらい作れましたよね?

個人的には劣情を満たすための特典よりも、作品世界のリアリティ向上を優先してほしい訳ですよ。というかむしろ、ビキニなんかよりも親しい人間しか決して見ることにできない何の変哲もない寝間着とかの方がプライベートを覗けた感じがエロいうわなにをするやめr

(黒い匪に入れられ、蓋を閉じられる) 

*1:『零』シリーズに登場する、カメラの形をした攻撃アイテム。これで撮影することで、怨霊たちにダメージを与える。

*2:ヘッドアップディスプレイ:ゲーム用語としては体力ゲージや残弾数表示など、プレイヤーキャラクターの状態を確認するためのゲージ、計器類を指す