サニーサイド四畳半

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『ブラザーズ:2人の息子の物語』 ゲームであるという必然

昨年8月7日にXbox Liveアーケードで配信され、その後Steam、PSNでも配信された、『ブラザーズ:2人の息子の物語(原題:Brothers: A Tale of Two Sons)』のレビューです。

 

それは、ゲームだからこそ成し得た表現方法

ずっとゲームをやっていると、「他の媒体には無い、ゲームならではの魅力って何だろう?」といったことを考えることがあります。様々な娯楽を享受できる現代、映画でも、漫画でもなく、自分は何故ゲームを選択したのか?と。

本作のテーマは、「兄弟の絆と成長」です。これはあらゆる媒体で散々紡がれた物語だと言えましょう。

重要なのは本作がこのテーマを、ゲームにしか成し得ない表現をもってプレイヤーに伝えようとした作品である、という点です。


ゲームプレイの上達が絆の深まりへとシンクロしていく

主人公は2人の兄弟。彼らは、病に倒れた父親を救うため、「命の水」を求めて旅に出ます。

プレイヤーは兄を左スティックと左トリガー、弟を右スティックと右トリガーで同時に操作します。最初のうちはこの操作の意外な難しさに戸惑うことでしょう。兄弟の立ち位置が左右入れ替われば混乱し、左トリガーを離さなければならない場面で右トリガーを離してしまい、弟が落下死、なんてこともザラです。

進行はほぼ一本道、随所で謎解き(難易度は易しめ)が必要となり、兄弟の行く手を阻みます。力が強く、泳ぐことができる兄と、狭い場所も通れる弟。特性の異なる2人で力を合わせて、それらを乗り越えていきます。

操作に慣れてくると、兄弟を器用に使い分け、テキパキとパズルを解けるようになっていきます。それはさながら、旅を通して兄弟の絆が強くなっていく様とシンクロしているかのようです。

言葉は無くとも、コントローラを通じてドラマは紡げる

ゲーム中に登場する台詞はすべて架空の言語となっていて、プレイヤーが正確な意味を把握することは出来ません。しかし旅を通して、兄弟の人となりを知る機会はたくさん設けられています。

例えば町でボールを使って遊んでいる子どもがいます。兄で話しかければ子どもの遊びを見守りますが、弟で話しかければボールを奪ってしまいます。このような兄弟それぞれの個性を感じるためのNPCやオブジェクトが本作では至る所に存在しています。

本作は、プレイヤーが兄弟の人となりを知り、彼らの絆の深まりと成長を感じ、彼らとコントローラを通じて「共鳴」するための旅路なのです。謎解きの難易度が最低限なのも、彼らへの「共鳴」の妨げにならないためのもの。そして旅路の中で得た「共鳴」は、終盤、あるシーンで、ハイライトを迎えることとなります。それはまさしく、ゲームでしか成し得ない、コントローラを通じた「絆と成長」の表現です。


異業種出身だからこそ引き出せたゲームの可能性

映画監督を本業とするJosef Fares氏が、Starbreeze Studiosに企画を持ち込んで制作されたこのゲーム。映画という表現手段の長所を理解し、同時に限界も知っている人間だからこそ、ゲームにしか成し得ない表現もまた、引き出すことができたのではないかと僕は考えます。

本作はだいたい1500円程度で購入することができます。クリアまでに要する時間は3~4時間程度、やり込み要素もほぼありません。これを「高い」と感じる方も居るでしょう。しかし本作には、ゲームでしか成し得ない、そして他のゲームでは味わえない感動(涙腺がゆるむことと同義ではない)があるのです。

あなたは何故ゲームを選んだのか。その答えはもしかしたら、本作で見つかるかもしれません。