サニーサイド四畳半

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『ゼルダの伝説 風のタクトHD』 本質を色褪せさせない、匠のリメイク

2013年9月26日に発売されたWiiU用ソフト、『ゼルダの伝説 風のタクト HD』のレビューです。

 

一番好きなゼルダ

ゼルダの伝説風のタクト』は2002年に発売されたゲームキューブ用ソフトです。当時は革命的だった『時のオカリナ』、外伝だからこその捻ったゲームデザインが根強い人気を誇った『ムジュラの仮面』のインパクトは越えられず、後半の作り込みの甘さなどもあり、「ゼルダシリーズの中では凡作」という評価が大半を占めていました。

しかしトゥーンレンダリングを使った独特のグラフィックによる、大海原やそこに吹く風といった自然の表現、一度見たら忘れられない個性的ながら可愛らしいキャラクター、それらを含めた過去のゼルダに縛られない世界観は好評を博しました。操作レスポンスやSEにまで行き届いた触っていての気持ちよさもシリーズ随一です。

個人的には初ゼルダだったこともあり、シリーズで一番お気に入りの作品、自分のゲーム好きのルーツのひとつですらあります。HDリマスター版の発売を待つ心境は、懐かしい友人との再会を待つのと近いものがありました。


本質が色褪せないための、いくつもの改善

風のタクトHDをプレイして最初に印象に残ったのは、空と海の「青」の美しさでした。

高画質化と共に調整し直された色彩は、リンクの生まれ故郷であるプロロ島の湿度の低いカラッとした空気感や温かみすらも感じ取れるかのよう。他の部分のグラフィックも、元々「書き込まない」ことを意識したものだったこともあり、細部のディテールで陳腐さを感じることもありませんでした。

しばらくプレイしているとこの作品独自のグラフィックが決して奇をてらったものでは無かったことを思い出します。

デフォルメされた世界だからこそ可能な視覚に訴える風の表現は、タクトで風を操るという、作品のテーマでもある操作に対するリアクションとしてこれ以上無い効果を持っていますし、「ネコ目リンク」とも形容される大きな瞳をもったリンク(主人公)は、その視線でゲームを進めるためのヒントをプレイヤーにもたらしてくれます。これらゲームデザインに寄り添うための表現こそが風のタクトのグラフィック最大の長所です。

そして操作感は紛れもない僕の大好きな風のタクト、いや、様々なブラッシュアップにより一層快適なものとなっていました。

いちいちメニューを開く必要があった、アイテムを各ボタンに振り分けるための操作はゲームパッドのタッチ操作で簡単に行えるように。視点の操作も現代に合った調整に改められており、特にブーメランや弓矢使用時にコンシューマ向けFPS準拠の操作が行えるのはとてもありがたいです。
 
ゼルダの伝説風のタクトHDは、ただ11年前のゲームを高画質にした作品ではありません。上記したグラフィック、操作性の他にも、大海原を船で走る際のスピードや、批判の種であった後半のゲームテンポ、やり込み要素の作業的な部分の緩和など、様々な改善が施され、リマスターでありながらリメイクと言っても良い作品となっています。

変わりゆくもの、変わらない想い

2002年の水準では何の疑問も持たずに楽しめていたとしても、2013年の水準に慣れたユーザーからすれば不満に感じた部分もあるでしょう。日進月歩のビデオゲームという媒体なのだから尚更です。

 任天堂は2013年のゲームユーザーが風のタクトの本質を、古臭いゲームデザインに邪魔されず最大限に楽しむための、素晴らしいリメイクを行ってくれました。どうせなら追加ダンジョンを、との声も理解できますが、それは野暮というものでしょう。おかげで2013年の僕も、 「やっぱり風のタクトが大好きだ」と、心の底から思えたのです。