読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

サニーサイド四畳半

女児向けアニメ好きゲーマーによるゲームブログです。

『ウォッチドッグス』はオープンワールドアクションをアップデートできたのか?

ゲームレビュー PS4 PS3 XboxONE Xbox360 PC ☆☆☆

『ウォッチドッグス』(PS4版)エンディングまで到達しました。

ここ最近購入した「オープンワールドアクション」は、『GTAⅤ』といい『セインツロウⅣ』といい、途中で飽きて積んでしまっており、その手の作品で最後にクリアしたのは何かな?と記憶を遡ってみたら、『Prototype』(2009年)でした。

そういう意味で、本作は個人的にかなり楽しめたゲームだったと言えます。しかし本作を遊んで一番良かった点は、長所も短所もひっくるめて、今後同系列の作品を遊ぶ上での評価基準として、非常に好材料であろう点です。

『ウォッチドッグス』がアップデートしたもの、その中で放置した今後の課題について考えるゲームレビューです。

 

※筆者はゲームのオンライン要素についての知識、経験が極めて貧弱なため、主に一人用モードに焦点を絞ったレビューにさせて頂きます。

 

UBIソフト、AAAタイトルの集大成としての側面

『ウォッチドッグス』のゲームシステムには、ここ数年UBIソフトが手掛けた大作タイトル群の要素が散見されます。

ステルスアクションとしての操作感は『スプリンターセル』シリーズがベースとなっており、『アサシンクリード』、『ファークライ』両シリーズのビューポイントに上り勢力圏を広める要素は、ctOSタワーの解放という形でアレンジされています。主人公の成長要素や武器作成にもこれらの作品からの引用がいくつか見受けられます(このあたりはうろ覚えなので曖昧にぼかす)。

UBI大作タイトルの集大成といった側面も持っている本作。しかし過去作からの引用はいわば本作の主役である「ハッキング」を引き立てるための脇役であり、引用元ほどの存在感を示さないようなチューニングが施されています。主人公エイデン・ピアーズはサム・フィッシャーのような華麗な「マーク&アクション」や、歴代のアサシンたちのような常人離れしたクライミングは出来ないのです。

 

「ハッキング」に頼らずとも良い「緩さ」

本作では情報収集、戦闘、逃走、目的の無い散策時に至るまで、メインミッション、サブミッション、その他問わずあらゆる局面で「ハッキング」能力を行使することとなります。

しかし、ことプレイヤーに戦略の組み立てが求められる局面においては、基本的にハッキングは「使わなくても何とかなる」のです。

まずは戦闘。本作では敵の勢力圏に潜入する場合、最初に行うのは「監視カメラをハッキングしての索敵」です。スプセルには特殊なゴーグル、ファークライには双眼鏡で視認した敵をマークする要素があります。本作の索敵もそれらの延長ではありますが、そこここに監視カメラが備え付けられた本作のマップにおいては、それら全てがエイデンの「眼」となり、万能感、征服感は段違いと言えます。

索敵は戦略上やった方が良い。では他に戦闘時、ハッキングで何が可能かというと、ほとんど他のTPS、FPSタイトルでも出来るようなことしか出来ないのです。列挙していくと、

・敵が所持した爆弾、または近くの機器にハッキングし、爆破(ドラム缶を撃って誘爆、と変わらない)

・保護カバーをハッキングし、カバーポイントを作成(机を蹴飛ばし、カバーポイントを~)

・敵の通信機器をハッキングし、無力化(スタン、チャフグレネード~)

シングルのTPS、FPSを多少プレイしていれば分かる通り、これらは駆使すれば便利ですが、使わなくとも何とかなるものです。本作でも、戦闘において索敵以外のハッキング要素は、使わなくても何とかなる。

ちなみにこれはステルスに関しても同じことが言えます。本作はハッキングとステルスを駆使し、敵と直接対峙せずに攻略した際が最もスマートに攻略が行えますが、派手に銃撃戦を演じても何とかなる(難易度が低いわけではなく、死亡のリスクは結構高まる)。特に割と序盤で「フォーカス」(周囲の時間の流れをスローにする能力)が使えるようになってからは、それがより顕著となります。

次に逃走。本作では警察や敵対組織の車両からの逃走劇が頻発しますが、交通網にハッキングを行い、信号を麻痺させ、遮断機を展開し、路上のパイプを破裂させて追手を妨害、テイクダウンするのは実に爽快です。しかし難易度はかなり高いものの、ドライビングテクニックに自信があればそれらをせずとも振り切ることは可能ですし、何を隠そう本作に登場する組織は揃いも揃って水上における追跡能力が皆無に等しい。近くに水辺がある場合、ボートをかっぱらって逃げるのが一番手っ取り早いことも多いです。

個人的には、戦略を立て、それが破られて泥臭い戦いになっても結局何とかなり、逃走方法を行き当たりばったりで決めてもこれまた何とかなるこれらの「緩さ」は、プレイへのモチベーションを保つ上でプラスに働いたように感じます。

しかし先に言及したように、本作はハッキング以外の要素は極めて凡庸に作られており、それらの要素で何とかなってしまうという事は、プレイの仕方によってはかなり味気のないゲームとなる恐れがあります。

本作はやはり人智を超えたハッキング能力を駆使し、恐れおののく連中を出し抜くプレイが一番楽しいのであり、その重要性、独自性をもっと高められなかったのは勿体なかったとも感じます。

 

全く感情移入できないエイデンおじさん

 本作は姪を失った主人公、エイデン・ピアーズの復讐劇なのですが、彼の行動理念に関しては本作において最も不可解で感情移入が難しいものとなっております。

元を正せば姪が殺されたのもエイデンが危険な稼業に手を染めていたからですし、これ以上の悲劇は起きてほしくないという妹、ニッキーの制止を振り切り、エイデンは復讐のために裏社会で暗躍、結果ニッキーとその息子にも危険が及び、彼女らは生まれ育ったシカゴの街を離れざるを得なくなってしまいます。

 

―彼女はシカゴの街を離れた、俺からも。 

                エイデン・ピアーズ

 

そらそうよ。あなたが元凶ですから。

 

さらに彼の独善性は、ミッション中のプレイヤーの操作によって、より強固なものとなります。

エイデンは法が裁けない悪を罰し、ctOSに干渉することで殺人等の犯罪を未然に防ぐことすら可能な「義賊」として描かれています。がしかし、よほどの注意を払わない限り、敵とのカーチェイス等の際、プレイヤー(=エイデン)は巻き添えで一般人を殺してしまうのです。そういうプレイをするなと言われればそれまでですが、そうするメリットはどこにも無いのだから、ミッションクリアを優先させてしまうのがゲーマーの性でしょう。本作には「評判システム」というものがあり、一般人を殺害しすぎると悪評が広まりますが、良い評判が上昇しやすいバランスとなっており、ミッション中に出る死人程度ならどうということは無いのですから。

GTA』シリーズや『Prototype』のように主人公が根っからの悪人で、他人の犠牲など厭わない人物として描写されているならばよいのですが、「法で裁けぬ悪は俺が裁く」的発言が目立つエイデンは、その発言とゲームプレイとのチグハグ感が生まれやすく、総合すると非常に不可解な人物となってしまうのです。

 

 都市デザインに見る続編のポテンシャル

ここまで見ていただければ分かる通り、僕にとって『ウォッチドッグス』は100%期待に答えてくれた作品ではありませんでした。

しかし、僕が今までプレイしたオープンワールドアクションの中でも格別優れていた部分も存在します。それは、コンセプトを生かすための「都市デザイン」です。

『ウォッチドッグス』は街をぶらついていてもかなりの数の対象物にハッキングが可能で、追跡、戦闘、逃走等の有事にはその時々の用途に応じたハッキングの選択肢が無数に用意されています(前述の通り、それらの重要性は必ずしも高くはないのですが…)

オープンワールドという性質上、各ミッションが展開されるマップの地点というのは開発サイドで制御し切れるものでは無く、それでもそれぞれのミッションに適したハッキングの選択肢があちらこちらにしっかりと用意されているというのは、かなり綿密にコンセプトを意識して設計されたマップなのだと思えます。

 

『ウォッチドッグス』はメインとなるハッキングとその他要素とのバランスや、そもそものハッキングの底の浅さ、コンセプト主導型の作品ならではの脚本の魅力の無さなど、一作目にありがちな荒削りな面が目立つ作品となっていました。しかし「コンセプトを生かすための都市デザイン」という面では、現行のオープンワールド作品の中でもトップクラスのポテンシャルを持っていると言え、これを生かし切った続編の発表を、心から望む次第であります。